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進む労働条件改善と今後の課題

※ここでの呼称は当時のものを用いています。2020年度会計年度任用職員制度導入にあわせて変更になりました

 嘱託員 ⇒(2020年度から)一般

 パート ⇒(2020年度から)短時間

★2008年度 パートの雇用年限3年が6年に延長

 延長に伴い更新基準が厳しくなることが予想されたため、私たちは「希望者全員の更新」を求め、杉並区との交渉や折衝を重ねました。この結果、「希望者全員の更新」はなりませんでしたが、大多数の人が更新されました。

★09年度 賃金アップ、嘱託員は新賃金表に

 嘱託員は職種により4区分されましたが、1~3級の格付けによる賃金表ができ、各層大幅に賃金改善されました。パートは時給で一律10円のアップを勝ちとりました。

★09年10月 病気休暇が実現!

 病気・ケガの治療が長引いた場合、年休だけでは足りません。安心して治療でき、更新にも不安のない休暇が必要でした。長年の要求が実り、新型インフルエンザの流行が予想された09年10月に制度化されました。23区でもトップクラスの内容です。

★10年度採用 「1年空け運用」がなくなった!

 雇用年限の廃止には至りませんでしたが、長年の取りくみの成果として勝ちとったものです。これまでの運用では年限満了後1年を空けなければ応募できませんでしたが、10年度採用の募集から年限満了者(経験者)が1年空けることなく応募できるようになったのです。これにより6年をこえる継続雇用への道がひらかれました。

★10~11年度 育児・介護休も実現! 子育て支援策が拡充

 それまで嘱託員にのみ制度化されていた子の看護のための休暇が拡充され、10年6月末からパートにも有給で保障されています。他区で実施している育児・介護休については、立ち遅れていましたが11年度から実現しました。

★12年度 年次有給休暇を是正させ、改善!

 労基法違反の状態になっていた休暇付与日数について、非常勤の仲間の声からスピーディな解決につながりました。

★14年度 パート交通費の上限額1万円から2万円に!

 完全な均等待遇が実現したわけではありませんが、「持ち出し」をしている人のほとんど救済されました。

★15年度 賃金アップ、嘱託員と学校事務嘱託員に新賃金表、出産支援休暇改善

 09年度の賃金改定に次ぐ6年ぶりの改定。嘱託員賃金表は新たに4級を増設。パートは各職種平均20円アップ。男性職員がとる出産支援休暇は常勤から嘱託・パートにいたるまで全て有給で均等待遇保障が行われました。

★16年度 賃金アップ、パートの自転車通勤にも手当支給

1 2年連続で賃金表が改善されました

2 パートの自転車通勤の人にも通勤手当支給が始まりました
・自転車等※で通勤するパートに、常勤・嘱託と同様に通勤手当を支給することになりましたが、「週3日以上勤務する者」が条件になっています。
 ※「等」とは、バイクなどを含みます。
・支給内容は片道距離2~5kmで月2,600円、以降片道35㎞以上で最大13,000円が上限となります。

3 社会保険の適用対象が拡がりました

 週20時間以上、賃金月額8.8万円以上の人が10月より適用対象となりました。

4 雇用保険料率が引き下げられました

 労働者0.5%、使用者0.85% ⇒ 労働者0.4%、使用者0.7%


★17年度 賃金アップ、育児・介護理由での欠勤の倍換算をやめさせました

1 3年連続で賃金表が改善されました 


2 育児・介護による欠勤の倍換算をやめさせました
 仕事はなくならないのに1年の任用期間(=雇用契約期間)にして、1年ごとの更新制にしているところが、本来おかしいのです。1年ごとの更新にあたって、これまで育児や介護のための欠勤も通常の私事欠勤として扱い、不利益な換算がされていました。
 長年の要求が実って、育児・介護での倍換算をやめさせることができました。

※嘱託は3倍(1日欠勤が3日欠勤に)、パートは2倍(1日欠勤が2日欠勤に)となっていました。

3 部分休業の同等待遇(嘱託員のみ)
  利用できる期間が常勤職員と同じになりました。

  <対象となる子ども>
  3歳未満⇒小学校にあがるまで、

4 育児・介護関連の改正
 常勤職員の改定にあわせ均等待遇がはかられました。
 改正の目玉は長期の介護休暇において、3回に分けて取得が可能となった点と、嘱託に関しては1日につき2時間の範囲内で介護時間が取れるようになったことです。
  

5 雇用保険料率引き下げ、一部で給付日数の延長
 

★18年度 賃金アップ、パートの男性にも育児時間、結婚休暇の運用を同等へ

1 4年連続で賃金表が改善されました
 

2 男性パートの育児時間を実現させました
 常勤、嘱託員は男性も育児時間が行使できるのにパートの男性には認められていませんでした。
 長年の要求が実って、差別的取り扱いをやめさせることができました。

3 子の看護のための休暇をさらに拡充
  対象者となる子を小学6年生(改正前:小学3年生)に引き上げました。

  また健康診断・予防接種要件の年齢制限を撤廃しました。

4 結婚休暇の運用改善を同等待遇で
  結婚休暇の利用が事実発生の日から6ヶ月以内(改正前:3ヶ月以内)に改善されました。常勤・非常勤の同等待遇がはかられています。

5 健康保険料率の変更
 

★20年度 会計年度任用職員制度導入にともなう主な変更点

 詳細については「ザックリ理解!会計年度任用職員制度」をご覧ください。

 雇用年限は続き、オマケに毎年、試用期間が入ってしまいました。

 ただし大きな成果も。査定・選別昇給から毎年一律昇給へ!通勤手当の完全同等待遇を実現!

 ボーナスについてはって?「小さく産んで大きく育てる」になるか?ボーナスの項参照

★22年度 病気休暇の大幅改善、産休が同等待遇へ

1 病気休暇の有給期間

 90日間の病気休暇のうち、有給期間が5日から15日になりました。 

2 産休の同等待遇

 これまで常勤職員と同等待遇だったのは「一般」だけでしたが、全ての会計年度任用職員が有給でとれるようになりました。

3 その他の改善

 ・介護休暇、介護時間、育児休業、部分休業の取得要件(1年以上の在職期間)が撤廃されました。

 ・組合休暇が導入されました。無給30日間で1日または1時間単位で取得。

★23年度 賃金上限改善、3休暇が同等待遇へ

岸本区政2年め、雇用年限の撤廃こそなりませんでしたが、近年にない大きな前進がありました。

1 賃金改善と上限の大幅アップ

賃金確定闘争で賃金改善(ベースアップ)がはかられ、常勤同様4月にさかのぼって追給が行われました。

※ただしマイナス改定が行われた場合の「調整」の方法も同じになりました。

会計年度任用職員(一般・短時間)においては、上限号給を3号給引き上げることになりました(なお、4月1日時点で上限になっている人については抑制をかけ1号給昇給)。長く働き上限に達している人はずっと賃金が上がっていなかったわけで、ベースアップとともに久々の朗報となりました。

2 生理休暇の有給化(同等待遇)

これは23区でも先進的な改善になります。不合理な格差撤廃、ジェンダー平等の観点からも必要でした。

23区、全国の全自治体にぜひ広めていきましょう。記事はこちら

3 災害休暇は同等待遇、ボランティア休暇は均等待遇で実施

とくに非常勤に災害休暇がないのが不合理な格差にあたっていました。これを常勤同様に認めました。

またボランティア休暇は勤務日数に応じて付与されることになりました。詳細こちら

4 労働条件通知書の配布が実現

「発令通知書」と名称は変わっていませんが、中身は完全な「労働条件通知書」として整備されました。記事はこちら

5 ボーナスにおける勤勉手当の支給に道筋

来年度からのボーナス支給について、常勤との同等待遇※がはかられる道筋ができました。

※勤勉手当支給、月数同じ、賃金ベースがかわったときの加減の方法も同じ

◎なお今年度からボーナス支給は夏・冬の2回支給となりました(年度末手当がなくなった)

★今後も課題は雇用年限の撤廃といっそうの格差是正

◆雇用年限の撤廃がやはり重要◆

 1年空け運用がなくなったことにより、6年をこえる継続雇用に道がひらかれました。各組合は希望者全員の雇用継続を要求し、運用の更なる改善を求めています。

 まず「経験者の優先採用」です。さらに経験者については応募から採用まで、面接や試験を新たな申込者とは区別し、簡素化するよう要求しています。

 同時に雇用年限の撤廃を引き続き強く要求していきましょう。「働き続けられること=雇用の安定」は働く者にとって、最も基本的なことだからです。これまで連帯・杉並がたびたび行ってきたアンケートでも、「雇用年限の廃止」が常に要求のトップにあげられてきました。1年空け運用がなくなっても「応募⇒再採用」をめぐる当事者の不安な気持ちは計り知れません。

 現在の1年空け運用の廃止だけでは不十分といえる根拠として、以下の点を挙げておきます。

  • 6年を越えて雇用が継続される場合でも、実際の流れは「年限満了→応募→選考・採用」となっています。全員が再採用される保証はありません。

  • 採用するかどうかは、区に全面的な決定権があります。選別的な採用が行われる危険性があります。

 以上のことから、私たちは雇用年限をなくすしか根本的な解決=雇用の安定はありえないと考えています。

◆格差是正・均等(同等)待遇の実現へ◆

 私たちは常勤職員との格差を一番に問題にしています。

 この是正はもちろんですが、同じ非常勤であっても「一般」と「短時間」には明らかな賃金格差が存在しています。また「専門職」には昇給制度もありません。このかん5度の賃金表改定、会計年度任用職員制度導入にともなう賃金決定基準の策定がありましたが、同じ「一般」の中にあっても庁内の事務担当と学校事務担当との賃金格差は残されたままです。

 休暇については常勤との均等待遇での改善は図られてきたものの、非常勤内部での格差(=有給・無給の格差)が温存されています。「国並み低位平準化」を警戒しつつ要求を強めましょう。   

 数の上では同等になった今、非常勤なしに役所は一日たりとも回らないという事実が厳然とあります。格差是正、均等待遇(必要によっては同等待遇)を実現させる大きなチャンスです。

 賃金と休暇の格差是正を、さらに強く求めていきましょう。

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