再応募できても、やはりここは一番の問題!
それは、生首切らずに人をやめさせたり、減らしたりできるから。
「首を切ったのではない、採用しなかっただけ」と当局は言うでしょう。この制度は良心の呵責なく人員を整理し、人を入れ替えられる制度なのです。
そしてもうひとつ。団結して労働条件を改善しようとする動きの芽を摘み取れるからです。
この規定は、実は会計年度任用職員制度を定めている地方公務員法にもないものです。
区が裁量として行っています。私たちは「雇用年限制度」と呼んでいます。
総務省は会計年度任用職員制度の開始にあたり、国の期間業務職員制度(3年で再応募)にならって、一定期間働けば公募に申し込ませるよう、自治体に指導を強めました。その結果、雇用年限がなかった自治体の多くが、この雇用ぶつ切り制度をのんでしまったのです。
杉並区では、2009年度まで雇用年限での解雇(雇止め)に加え、なんと、1年空けなければ応募もできない運用になっていました。2010年度採用からは、新規の人と同じように公募に申し込み、再採用されれば事実上、継続して働くことができるようになりました。現状、これをひきついでいます。
もちろん、この経験者採用(年限満了者で、応募した人の採用)は、以下のとおり決して十分とは言えません。
理由一つめ。
改善されてきたとはいえ、職場によっては3割もの人たちが不合格となっていることです。
理由二つめ。
雇用年限により、いったんは雇用が打ち切られること自体は変わっていないことです。
そもそも経験を生かして今後も貢献できる人を、まっさらな人たちと競わせるなんて、人のプライドや尊厳をどう考えているのでしょう。また、この事実を知らない新規の応募者にとっては「(役所都合の)出来レース」に映ることもあります。再応募者・新規応募者双方にとって失礼極まりない制度なのです。
私たちは雇用年限制度の廃止を第一に掲げています。しかし当面の策として次のように要求しています。
・雇用年限を迎える人たちを新規に応募する人とは別枠にする
・通常の更新(再度任用)に近い形で、勤務評価と面接とで継続雇用(採用)する
<雇用年限の撤廃がやはり重要>
2010年度改正で1年空け運用がなくなったことにより、6年をこえる継続雇用に道がひらかれました。希望者全員の雇用継続を要求し、運用の更なる改善を求めていきましょう。 まず「経験者の優先採用」です。さらに経験者については応募から採用まで、面接や試験を新たな申込者とは区別し、簡素化するよう要求しています。 同時に雇用年限の撤廃を引き続き強く要求していきましょう。「働き続けられること=雇用の安定」は働く者にとって、最も基本的なことだからです。これまで連帯労働者組合・杉並が行ってきたアンケートでも、「雇用年限の廃止」が常に要求のトップにあげられてきました。1年空け運用がなくなっても「応募⇒再採用」をめぐる当事者の不安な気持ちは計り知れません。 現在の1年空け運用の廃止だけでは不十分といえる根拠として、以下の点を挙げておきます。 ① 6年を越えて雇用が継続される場合でも、実際の流れは「年限満了→応募→選考・採用」となっています。全員が再採用される保証はありません。 ② 採用するかどうかは、区に全面的な決定権があります。選別的な採用が行われる危険性があります。 以上のことから、私たちは雇用年限をなくすしか根本的な解決=雇用の安定はありえないと考えています。