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【最新・重要】雇用年限撤廃後の詳細取り扱い決まる

  • 執筆者の写真: Tadachika Kinoshita
    Tadachika Kinoshita
  • 9月28日
  • 読了時間: 5分

更新日:6 日前

 2024年12月~2025年1月、区は全ての労働組合と2025年度からの雇用年限撤廃で大枠合意しました。

(2025年度中に規則改正を行い、同年度末に雇用年限が到来する職員から適用)


撤廃の喜びも束の間、怒りの6.12提案

 大枠合意では、その他の取り扱いの詳細は追って提案し協議する、となっていました。わたしたちは「定期的な組合との協議」で具体的内容を詰めていくことを提案しましたが、区側が受け入れることはありませんでした。

 年が明けても提案が出ない、年度がかわってもなかなか提案をしてこなかった杉並区。区人事課に折衝で交渉促進と年限撤廃の最終的確定を求め、すみやかに提案を行うよう要求書も提出していました。

満を持して(?)、提案が行われたのが2025年6月12日。

 その内容は、提案までに時間がかかった割には、とてつもなく酷いものでした。内容は以下のとおり。

① E評価2年連続で、公募なしの再度任用から外れる(杉並区は5段階評価)

② 65歳になった段階で、一律に登録制へ移行 ※本人同意なし

③ 同じく65歳になった段階で、月給制から待遇の劣る時給制に一律に転換 ※本人同意なし

というものでした。この酷い内容でありながら、区は交渉期限を7月末日で切っていました。


6.12提案の問題性

(1) 65歳になったら本人同意もなしに労働条件の一方的不利益変更

 自治体非正規公務員のほとんどは会計年度任用職員とされ、1年の細切れ雇用(任用)で大変不安定な働き方です。杉並区ではそのうえに雇用年限があり6年間しか安心して働けないため、わたしたちはじめ全ての労働組合はこの撤廃を求めていました。

 そして昨年12月にやっと撤廃の大枠合意。これで安心して働き続けられると思ったのも束の間、先述の6.12提案でどん底に突き落とされました。

 提案の②③は、定年制が適用されない会計年度任用職員への実質的な定年制導入であり、労働条件の一方的不利益変更そのものです。

 65歳登録制とは、a)65歳でいったん「更新を打ち切り」、b)働き続けたい人は「名簿登録して連絡を待つ」、つまりc)「働けるかどうかは区の裁量」という仕組みです。これでは「解雇と失業の隠蔽」としか言いようがありません。声がかかるまでは、次年度に働けるかどうかもわからない制度だからです。そして「クビにされたのか、失業したのか」もハッキリしません。雇う側だけにとって都合がいい制度なのです。

 区側の提案の理由は「常勤職員がそうしているから、均衡のため、取扱いを同じにする」というものでした。これはおかれた状況の全く違うものを、結論だけ同じにする暴挙です!

 常勤は長く働き、年金もある程度の額がもらえる。そして退職金もある。

 杉並区の会計年度任用職員の多くは、50代以上の高年齢層の女性たちです(この傾向は全国に共通していると思います)。退職金もなく年金も不十分な人が多いのです。区政運営を彼女らに大きく依拠していながら、この仕打ち。

 さらに65歳以降は登録制の名のもと、雇用(任用)更新のない制度になっており、当事者たちには大きな生活不安が広がりました。


(2) ジェンダーの問題 自治体は中高年齢層の女性たちに支えられているのに

 非正規公務員は保育や学童指導員、各種の相談員や福祉関係の援助職、事務職、学校図書館司書やスクールカウンセラーなど多岐にわたる職種があり、それぞれが住民に身近な公共サービスを担い、住民のために尽くしています。

 杉並区の会計年度任用職員の年代別人数割合をみてください(チラシ①の裏面の円グラフを参照ください)。50代以上が73%でほとんどが女性です。自治労連が行った2022年の全国アンケートでも回答者2万2401人のうち33.6%が60代、50代は32.7%と合わせて63%が50代以上を占めます。また、総務省調査では非正規公務員に占める女性割合は75.8%とされています。

 人手不足のなか、公共サービスは中高年者、とりわけ高齢層の女性によって支えられていると言っても過言ではありません。65歳以上が約4分の1を占める杉並区の現状で、首切りにつながりかねない「登録制」という仕打ちは酷すぎます。

 そして、そもそも期間の定めのある契約に対して年齢制限をつけることは、年齢差別となり違法だと考えられます。


(3) 内容も悪いが交渉期間が短かすぎ、そして人事担当者も困る制度

 そもそも提案があったのは、6月12日。そして交渉期限を7月末までとした。1ヶ月半程度の、わずかな時間の中では充分な交渉ができない内容です。この区の傲慢は許されるものではありません。丁寧に当事者の声を聞くとともに、充分な労働組合との交渉が必要でした。

 そもそも登録制を導入すると新たな事務が増え、人事当局や各課の庶務担当が大変になるだけで誰の得にもならないことは明らかでした。わたしたちは業務を十分にこなせる健康状態である限り働き続けられる制度が、働く側の理解も得やすくシンプルで一番良いと訴えました。


杉並夏の陣―二労組共闘へ。そして8月最終決着

 わたしたちはこの6.12提案に強く反発・反対し、それぞれの組合で折衝・交渉を重ねましたが、埒があきませんでした。連帯労働者組合・杉並としては「なくそう官製ワーキングプア集会」で10年以上の信頼関係のある東京公務公共一般労働組合と、共同の取組を進めることにしました。

 力になったのは共同の庁舎前情宣2波(チラシ①)、そして8月6日の区長要請です。

 区長要請では、公共一般の現場の組合員が切実な訴えを行い(チラシ②に内容)、区長の表情はみるみるうちに険しく変わっていきました。

 そして要請翌日には、折衝の打診(「良い話を伝えたい」と)がありました。8月12日(連帯)、19日(公共)の交渉で、前述の区側6.12提案の②③の提案撤回を勝ち取ることができたのです。

 区提案①については、残念ながら撤回させられませんでした。年限を撤廃させた自治体でも多くがこのような条項を突破できていないことから、長期戦を構えることにしました。公募に回され事実上の雇止めとなる他の問題(たった一度の懲戒処分で雇止め、病気休暇の欠勤換算)とあわせ、運動、交渉を続けていきます。

チラシ①

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チラシ②

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雇用年限撤廃の次の目標は、無期転換の実現と単年度任用をやめさせることです。この取組をともに杉並から!


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